子山羊の日記

寂しがり屋な女の独り言。

花に泣く

花のプロになろうと都内のフラワースクールと

花道のお教室に通っています。

 

私の花道の先生となる方は

私の流派では巨匠と呼ばれる方でした。

そんな事も知らず先生の作品に惹かれて

カルチャースクールの門を叩いたんですが

カルチャースクールではなく、

ご自宅のアトリエへ招かれました。

 

先生はかなりお歳をめしているので

実は現在は生徒の新規入会は

ほとんど断っている事を聞かされました。

先生は少し意地悪に笑って

「あなた、個性的だから面白い花を

    生けられると思ったの。

    私もあと5年位は教室を出来ると思うから

    師範を目指して頑張って頂戴よ。」

って、口説かれました。

 

初めて会う生徒さん達は

「先生をどこで知ったの?」

「なんで先生を選んだの?」

って口々に尋ねるのを不思議に思ったんだけど

 

先輩達は自分達の事だから口に出せないけど

「アトリエに招かれるのは生え抜き選手のみ」

だから、なんの経歴もない私が

アトリエに呼ばれて興味が湧いたんだと思う。

 

私は自分を客観視すると、美意識が高くて

タレント性やカリスマ性、アーティスト気質

みたいな他人を惹きつける才能があるんだと思う。

手先の器用さや

正確さという意味での花の才能は全くない。

だが、海千山千の先生は

私の花への情熱や欲、

感受性の高さを見抜いたんだと思う。

 

私は先生の手直しで花が「生けられる」業を

目の当たりにし、涙が出てしまったのだ。

演技でもなんでもない私の本当の心。

 

先生が花に触れると、

花が自らの美しさや生を訴え掛けてくるのだ。

そう見える感受性が私の才能なんだと思う。